傷と信仰

ジョセフ・チェンの証し

『恩雨の声 香港版』より抜粋

ジョセフ・チェン(Josif Chen)さんは中国で生まれ、幼い頃に母親を亡くし、父と継母に育てられました。後に両親が仕事のため都市へ移り、祖母に預けられました。祖母は敬虔なクリスチャンで、ジョセフは祖母に連れられて教会に通い始め、これが信仰の始まりとなりました。思春期には父親の心配から16歳で海外へ渡り、異国での生活が始まりました。

2003年、家族とともにセルビアへ移住し、厳しい生活の中で祖母の言葉を守り、現地の教会に積極的に参加しました。両親の反対にもかかわらず、信仰を貫きました。10年後、家族はポーランドへ移り、ジョセフは宝石ビジネスを始め、教会でも奉仕活動に励みました。結婚適齢期には内向的な性格から恋人ができず、両親の勧めで中国へ帰国し、同じクリスチャンのマヤさんと出会い、結婚してポーランドに戻りました。

事業が順調な時、最も信頼していた従弟に裏切られ、顧客や資源を奪われて事業が崩壊。復讐心に駆られましたが、クリスチャンとして悪に報いることはせず、憎しみを手放しました。事業失敗後は深い絶望に陥り、自己否定や自傷衝動に苦しみましたが、祈りと妻の支えで少しずつ立ち直りました。

生活が安定し始めた頃、妻が妊娠し希望が生まれましたが、三ヶ月後に流産。二度目の妊娠も流産し、ジョセフは神への信頼を失い、教会にも足が遠のきました。教会でヨブ記の「主が与え、主が取られる。主の名はほむべきかな」というメッセージに慰めを受け、徐々に心が癒され、再び教会に参加するようになりました。

三度目の妊娠は新型コロナの最中で、夫婦は不安に満ちていましたが、祈り続け、ついに娘が無事に誕生。娘は幼い頃から祈りを覚え、両親を励まし、ジョセフは神の守りを実感し、信仰を回復しました。

過去を振り返ると、傷は残っていますが、信仰はますます強くなりました。神はすぐにすべての願いに応えてくれるわけではありませんが、常にそばで見守ってくださることを知りました。事業の失敗、家庭の喪失、流産の痛みは信仰の試練でしたが、今では幸せな家庭と安定した仕事を持ち、イエス・キリストがこれからも家族を導いてくれると確信しています。どんな困難にも、愛なる主を信じて歩み続けます。

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