曾令明の証し
『恩雨の声 香港版』より抜粋
曾令明さんは香港で生まれ育ち、幼い頃から両親に連れられて教会に通い、信仰の環境で成長しました。中学時代には様々な宗教に触れましたが、最終的にキリスト教こそが真理だと確信し、教会で信仰を深めていきました。
成人後はヨーロッパで生活した経験もあり、家族の移住をきっかけにヴィラへと新しい人生を始めました。現地の人々は素朴で誠実、ゆったりとした生活リズムの中で、神様が与えてくださる平安と喜びを感じることができました。
ヴィラで出会った夫と2003年に結婚し、同年長女を授かりました。幸せな家庭生活の中にも、異文化の背景からくる価値観や信仰の違いで、夫婦間には多くの葛藤がありました。夫は教会活動に積極的ではなく、彼女が教会に多くの時間を費やすことに不満を持つこともありましたが、曾令明さんは自分の行動と生き方で信仰を証ししようと努めました。夫は信仰には熱心でなくとも、家族思いで、娘にも深い愛情を注いでいました。
2018年、突然の事故が彼女の人生を大きく変えました。夫がバイク事故で亡くなり、曾令明さんは深い悲しみとショックに襲われました。最後の瞬間にそばにいられなかったことを悔やみ、涙が止まらず、眠れない日々が続きました。
最も辛い時期、教会の仲間たちが積極的に支え、娘の世話や生活の手助けをしてくれました。彼女は安眠薬に頼ることなく、神様の言葉と祈りによって一日一日を乗り越えました。「神は寡婦の父」と信じ、祈りの中で神様に心を打ち明け、慰めと力を求めました。
夫の死後、複雑な法律手続きや相手側弁護士の圧力、社会的な偏見にも直面しました。公正な裁判を求めて公開書簡を書き、家族の権利を守ろうとしました。最終的な判決は期待通りではありませんでしたが、彼女はすべてを神様に委ねることを学びました。人生の出来事は自分でコントロールできないことが多く、神様だけが絶対的な主権を持っていると深く実感しました。
この経験は娘にも大きな影響を与え、娘は口数が少なくなり、人との距離を置くようになりました。曾令明さんは娘に信仰を強制せず、愛と忍耐で寄り添い、神様の言葉がすべての傷を癒してくださると信じています。「娘が私の母の信仰を受け継ぐのではなく、自分自身の神様を見つけてほしい」と願っています。
人生の浮き沈みを経て、曾令明さんは神様との関係がより親密になりました。すべてを手放し、神様に委ねることで、困難の中にも神様の臨在と慰めを深く体験しました。神様の導きに従うなら、どんな困難も恵みと祝福に変えられると信じています。
神様がいつもそばにいてくださることに感謝し、最愛の人を失った痛みを乗り越え、新たな一歩を踏み出す勇気を与えられました。今では、自分の人生が家族や友人への祝福となり、神様の真実と愛を証しできることを願っています。
