闇の中で見た希望

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許胡佩珊の信仰証し

『恩雨の声 香港版』より抜粋

許胡佩珊(Grace)さんは、夫の許道宏牧師と共にカナダ・バンクーバーで教会を開拓し、二人の子どもと共に主に仕えていました。2000年、夫が40歳の若さでパーキンソン病と診断され、筋肉の硬直や薬の副作用に苦しみました。当時、娘は5歳、Graceさんはまだ息子を妊娠中で、家族の重荷が一気に彼女にのしかかりました。それでも夫婦は主への奉仕を続け、信仰を守り抜きました。

パーキンソン病の生活に慣れ始めた頃、2004年に夫が肝臓癌と診断されました。神の奇跡的な癒しも経験しましたが、2011年に癌が再発し、夫は天に召されました。臨終前、夫は家族で最後の家庭礼拝を行い、子どもたちに「生涯キリストに従い、信仰と道徳を守るように」と遺言を残しました。この霊的な遺産が、Graceさん一家の支えとなりました。

夫の死後、Graceさんは深い悲しみと自責の念に苦しみ、車の中で泣き崩れることもありました。最も親しい伴侶を失い、孤独と無力感に襲われ、パニック発作も経験しました。これまで多くの決断を夫に頼っていたため、すべてを一人で背負うことに大きなプレッシャーと恐怖を感じていました。

同時に、二人の子どもも父親を失った悲しみで情緒不安定になり、Graceさんは自分の悲しみだけでなく、子どもたちを支え慰める必要がありました。介護者として「自分の判断が間違っていたのでは」と自責の念に駆られ、決断することが怖くなったと語っています。

最も困難な時、Graceさんは神の臨在を深く体験しました。祈りの中で神に心を打ち明け、夫を失った空白を神が埋め、伴侶や舵取りとなってくれるよう願いました。教会の兄弟姉妹や家族が交代でGraceさんと子どもたちを支え、神が共同体の愛を通して助けてくださることを実感しました。

信仰によってGraceさんは自分の弱さや感情を正直に神に委ねることを学びました。キリスト教信仰は苦しみを説明するものではなく、神と共に苦しみを乗り越える力を与えるものだと理解しています。苦しみや涙を神に委ねるたびに、新たな力と平安、希望を経験しました。

しかし、人生の苦難は続きました。2015年に父親が突然亡くなり、2016年には妹が病気で亡くなりました。連続する悲しみに再び打ちのめされましたが、信仰が現実に向き合う力を与えてくれました。

Graceさんは「命は自分のものではなく、神の御手の中にある」と深く信じています。今ある家族や子どもたちに感謝し、将来天国で愛する人々と再会できるという希望を持って、暗闇の中でも前向きに、信仰と希望を持って生き続けています。

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