この度、国際的な大学連携プログラムに参加する機会をいただきました。台湾の淡江大学で開催された「国際ハウジングワークショップ」に学生として参加し、市場やコミュニティの活性化について考える貴重な体験をしました。海外の学生や教授陣と協力しながら、台湾の市場文化や地域性を活かした新しいビジネスアイデアを生み出すプロセスに携わりました。本ブログでは、このワークショップの内容や学びの体験談、台湾ならではの市場文化の魅力、そして生まれた事業アイデアについてご紹介します。
1. 淡江大学と国際ハウジングワークショップの紹介
淡江大学は台湾にある大学で、留学生や国際交流を重視しています。その中でも、淡江大学では国際ハウジングワークショップが特に注目されています。このワークショップは、淡江大学のKuang Chein Bee准教授と篠原聡子教授の指導の元、2006年から開催されており、最近では中国やマレーシアの大学も協力しています。
ワークショップは、学生たちが英語やスケッチ、図面などを使ってコミュニケーションをとりながら、さまざまな課題に取り組む貴重な機会です。参加する学生たちは、異なる大学や国籍の学生とグループを組み、現地での調査や設計作業に取り組みます。そして、最終的に行われる講評会では、参加学生同士の交流も深まります。
このワークショップは、異文化や異なる言語を持つ学生たちが共同作業を通じて課題を解決する場です。それだけでなく、新たな友人とのつながりや国際交流の機会を通じて、さまざまな学びを得ることができます。淡江大学をはじめとする海外の大学との交流は、参加者にとって非常に貴重な経験となります。
国際ハウジングワークショップは、淡江大学の教育プログラムの一環として定期的に開催されています。そのため、多くの学生にとって有意義な時間となり、淡江大学に興味を持つ学生にとっても魅力的な機会です。また、留学生や国際交流を通じて多様な視野を広めることができるのも、このワークショップの魅力の一つです。
2. ワークショップの活動内容と学びの体験談
ワークショップに参加した学生たちは、さまざまな活動に取り組みながら、貴重な学びの体験を積んでいきました。以下に、ワークショップの活動内容と学びの体験談を紹介します。
ワークショップの活動内容
ワークショップでは、参加者がアイデアを出し合いながら、新富市場でのローカルビジネスを考えることが求められました。参加者は新富市場の置かれた前提を考慮しながらアイディエーションを行い、具体案を固めていきました。
参加者は付箋にアイデアを書き出し、チームメンバーと共有しました。さらに、フィードバックを受けながらアイデアを洗練させ、最終的な提案をまとめました。台湾のローカリティを考慮しつつ、持続性や市場に新しい価値観をもたらす可能性を持つアイデアを求められました。
学びの体験談
ワークショップを通じて、学生たちは異なる文化や言語を持つ参加者と共に課題に取り組むことで、多くの学びを得ることができました。言語の壁や考え方の違いに苦しみながらも、懸命にコミュニケーションを重ね、意見がまとまった時には達成感を感じました。
また、実際に現地調査を行ったり、地元住民の方に直接インタビューをしたりするなど、貴重な経験をすることができました。これにより、異なる文化への理解を深め、コミュニケーション能力やプレゼンテーション能力を高めることができました。
さらに、ワークショップの後も参加者同士の交流が盛んに行われ、国際交流の観点からも多くの学びを得ることができました。ワークショップを通じて結ばれた新しい友人たちとのつながりは、今でもSNSを通じて続いています。
以上が、ワークショップの活動内容と学びの体験談です。このような学びを通じて、学生たちは異なる文化への理解と共同作業能力を身につけました。
3. 台湾の市場文化と新富市場のユニークさ
台湾は市場が地域の生活と密接に結び付いている国であり、市場は地域の人々にとって台所の役割を果たしています。台湾の市場は長い歴史を持ち、地域の文化や伝統を守り続けてきました。その中でも特に注目すべき市場が、「新富市場」です。
台湾市場文化の特徴
台湾の市場は、日本統治時代に始まった屋内型の公設市場から発展してきました。食材や日用品、雑貨などを販売する場所であり、地域の人々にとっては欠かせない存在です。地域の特産品や伝統的な手工芸品も販売されており、地域の文化や歴史とも深く関わっています。
新富市場のユニークさ
新富市場は、台湾で初めて「新衛生基準」に沿った構造を持つ市場として開設されました。当時としては非常に進歩的な建物であり、衛生面にも配慮がされています。新富市場には肉や野菜、雑貨を販売する35の店舗が入居し、製氷室などの設備も整っています。長い間、新富市場は地域の生活を支える役割を果たしてきましたが、時代の変化によりその存在感は薄れていきました。
新富市場のリノベーションと活用プロジェクト
2012年に政府によって新富市場は古跡指定され、リノベーションが行われました。その結果、新富市場は展示スペースやカフェ、オフィススペースを備えた場所へと変貌し、地域の人々や観光客に開かれたコミュニティスペースとなりました。また、地域学習カリキュラムの実施や芸術家・建築家による活動、展覧会の開催なども行われています。
新富市場の課題と今後の展望
一方で、新富市場にはいくつかの課題も存在しています。市場全体を支えるシステムが不十分であり、市場の競争力が低下しているということが挙げられます。また、施設の運営方法や市場の需要性の向上も課題とされています。そのため、修復だけでなく、新たな価値観や形式を取り入れることが求められています。
新富市場は、台湾の市場文化を受け継ぎながら、現代のライフスタイルにも合わせた新しい活用方法を模索しています。今後も新富市場を活用したプロジェクトが進むことで、地域の魅力や活力を再び引き出すことが期待されています。
4. ローカリティとコミュニティを活かした新しい事業アイデア
市場や商店街が持つ”ローカリティ”と”コミュニティ”という特性は、新しい事業のアイデアを生み出す貴重な要素です。参加者たちは、台湾の市場文化を活かし、新富市場でのローカルビジネスを考える中で、様々なアイデアを出し合いました。
以下に、参加者たちが考えたローカルビジネスのアイデアをいくつか紹介します。
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ローカル食材の販売とレストランの提供
– 地元の農家や漁師から仕入れた新鮮な食材を使った料理を提供するレストランを開く
– 地元の食材を扱う専門店を作り、食材自体を販売する -
文化や伝統を活かしたワークショップや体験イベントの開催
– 地元の伝統工芸品や芸能の技術を学ぶワークショップを開催する
– 地元の文化祭やイベントに参加し、地域の魅力を発信する -
地域の特産品や個性的な商品の販売
– 地元の特産品を集めたマーケットを開催する
– 地元のクリエイターやアーティストが手がける個性的な商品を販売する
これらのアイデアは、台湾の市場文化を活かしながら、地元のローカルな魅力やコミュニティと結びつけた新しい事業の可能性を示しています。地元の食材や文化、商品の特性を活かし、地域の経済や活性化に貢献することが期待されます。
参加者たちは、これらのアイデアをより具体化させるためにフィードバックを受けながら詳細を詰めていきました。このような新しい事業アイデアが実現すれば、新富市場の魅力がより高まり、地域の発展に寄与することが期待されます。
ローカリティとコミュニティを重視した事業アイデアは、地域に根ざし、地域の人々とのつながりを大切にすることで、長期的な持続性と成長をもたらす可能性があります。
5. 下北沢BONUS TRACKでのソーシャルデザインの実践
BONUS TRACKは、下北沢の商業施設であり、ソーシャルデザインの実践の一例です。このプロジェクトは、地域の課題解決と新たな価値の創出を目指しています。
BONUS TRACKの課題解決と新たな価値の創出
下北沢では、地下化による再開発の結果、小規模店舗が倒産するという問題が発生しました。BONUS TRACKは、この課題に取り組み、下北沢の活気に満ちた街並みを再現することに注力しています。
店舗における新たな価値の創造
BONUS TRACKでは、ネットでの買い物の便利さが広まる中でも、店舗の価値を引き出すための取り組みが行われています。店舗のテナントは、社会的・文化的ミッションを持ち、それを実践している店舗が選ばれました。例えば、台湾料理とレコード店を兼ね備えた店舗や、発酵食品に特化した専門店など、個性豊かなテナントが集まっています。
建物のデザインを通じた課題解決
BONUS TRACKでは、建物のデザインを通じて世田谷区の課題にもアプローチしています。この地域では、低層住宅専用の地域であるため、建築制限がありましたが、BONUS TRACKは「店舗兼用住宅」という形態を採用することで、制限のある環境でも店舗を運営することができるようになりました。
地域の連携と共創
BONUS TRACKでは、地域の不動産オーナーとも連携しています。下北沢の地盤を強化するために、不動産業者を誘致し、地域の不動産オーナーと協力関係を築いています。
面白い街づくりを目指す
BONUS TRACKの目標は、利益だけでなく、面白い街づくりを実現することです。利益を第一に考えるのではなく、面白い街づくりに挑戦しています。BONUS TRACKは、地域のニーズを把握し、街の利用者代表として新たなビジネスモデルを作り出すことに注力しています。
応用可能性とまとめ
BONUS TRACKの取り組みは、行政と企業の関係にも応用可能です。社会起業家やローカルベンチャー、NPOなどが、見逃されがちなニーズを見つけ出し、解決する役割を果たすことができます。BONUS TRACKの実践事例は下北沢にとどまらず、他の地域でも応用することができ、地域の課題解決と新たな価値の創出に大きな注目が集まっています。
まとめ
この記事では、台湾の淡江大学で開催されている国際ハウジングワークショップとそこでの学びの体験、台湾の市場文化と新富市場の特徴、そしてローカルビジネスのアイデア創出、さらに下北沢BonusTrackにおけるソーシャルデザインの実践について紹介しました。これらの取り組みは、異文化交流、地域活性化、社会課題解決といった多様な価値を生み出しています。ローカルな魅力を活かしながら、新しい価値を創造する試みは、他の地域にとっても示唆的であり、これからの地域づくりに大きな可能性を秘めているといえるでしょう。